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契約書の構造

契約書作成の基本は以下の3点が挙げられる。

①4W1Hを意識する…条文の内容は「誰が」「誰に対し」「いつ」「何を」「どうする」

②号を利用する…ひとつの条文に様々な項目を挙げる場合に、漏れを防ぐ。

③条文の隣にサブタイトルを付ける…ヘッドラインを付けて内容を明確化する。

最低限、この3点は気をつけましょう。

契約書の内容

契約書作成の基本は、「自社に有利な内容にすること」である。

契約書ガない場合、法律の規定に従ってトラブルは解決される。

とすると、契約書の内容が自社に有利かどうかの判断基準は、民法商法会社法といった基本法に比べて有利な内容となっているか、これが基準となります。

相手側が作った契約書が自社に著しく不利だった場合は、基本法の規定の知識があれば、「せめて民法の規定にまで戻してほしい」と交渉できる。

契約書のタイトル

契約書のタイトルについては、大事なのは契約の内容であり、タイトルが法的効力を決めるわけではないので、シンプルに決めればいいでしょう。

どっちが「甲」でどっちが「乙」みたいな決まりみたいなものはある?

特に決まりはない。企業法務の担当者は、謙譲の意をこめて自社を「乙」、相手側を「甲」と表記する人もいるが、正式な決まりはない。

契約書の作成枚数について

【契約書の作成枚数】

契約書は人数分作成するのが一般的である。

しかし、相手側の合意があれば1通だけ契約書を作成し、他方がコピーを保管することも可能である。

この場合、印紙代を節約できるというメリットがある。

但しコピーの方に印鑑を押すと原本と見られてしまい、印紙を貼らなければならないので注意が必要である。

契約書で条文が抜けていると契約書は無効か?

条文が抜けていても、契約自体が無効にはならない。

もっとも他の条項で当該条文を引用している場合は当該条項の部分が無効となる可能性があります。尚条文を追加したい場合は、以下の2つのやり方が考えられる。

①当事者双方の保管する契約書に条文を追記し、その横に双方の訂正印を押す。

②契約書全体を改めて作り直す。

※いずれにしても、条文を追加する場合は、相手の同意が必要です。

取引相手が契約書を作るべきか。自分が作るべきか?

例えば外注の仕事を関連会社から割り振られた場合にどちらが契約書を作成するかであるが、なるべく自分の側で契約書を用意すべきでしょう。

相手が大企業の場合は、相手方が契約書を用意していることが多いが、この場合も自社に著しく不利な条項がないかをチェックし、もしあれば修正を相手に求めるべきです。

又契約書の作成においてどちらを甲、乙にするかという厳密なルールはないです。どちらか任意に甲、乙と決めればいいでしょう。

300万程度の取引なのに、なんで9000万も損害賠償請求されるの? 

 

さて、このページでは損害賠償の条項について説明させていただきます。

契約書の雛形では、損害賠償の条項はかならず見受けられます。 

 

下記に挙げられる例で説明しましょう。

 

具体例 建築物の売買

 

1、建築物の売買後、建築物の外壁にひびを発見 建物内部にも壁に亀裂が発見

 

2、建物の欠陥が元で、買主は精神的ショックのため倒れる。

 

3、父親の収入が途絶えて生活が苦しくなったために、その子供も進学をあきらめなければならなくなる。

 

4、その子供は優秀で、そのままいけば医者になれる可能性があったのが、それもあきらめなければならなくなる。

 

上記を例にして、建築物の買主が売主に対して損害賠償請求を起こしたとしましょう。


とり壊し費用等を含む再建築費用2000万だけでなく、慰謝料100万円、弁護士費用693万円さらに上記の例の3、4に関する損害も賠償してほしいと主張されたら、建物の売主にとっては脅威です。

 

契約書の雛形でよく見られる損害賠償条項の例

 

甲または乙は、その責めに帰すべき事由により相手方に損害を与えた場合、甲または乙は相手方にその損害を賠償する。

 

契約書の雛形の中で、上記の条文をひと目見ただけだとさらっと読めてしまいます。特に気になる点はないとも思えます。相手に損害を与えたら、加害者(損害を与えた方)は賠償するというのは当たり前のことではないかと感じたのではないでしょうか。

 

しかし、加害者側(損害を与えた方)がこの条項が記載された契約書の雛形を使用した場合、加害者側(損害を与えた方)にとっては悲惨な結果になるかもしれません。

 

すなわち、契約書の雛形によく見られる上記の条項は、被害者が被った損害のすべてを、加害者が賠償しなければならない可能性があります。 たとえ数千万でも数億でも。

 

 従って、上記の建築物の例でいうと、建築物の売主は建築物の買主に対して、すべての損害を賠償しなければならない可能性があります。

恐い取り立て屋が、突然金払えと言ってきた・・・

 

このページでは、権利義務の譲渡禁止規定について説明させていただきます。

【具体例】

あそこの会社、全然商品代金支払ってくれない・・・催促しても無視をする・・・
もう、我慢出来ない!!!商品代金を請求できる権利を恐い取立屋に、売ってしまえ。

 

その1か月後

 

支払いを怠っていた会社に対して、恐い取立屋からの取立てが始まる・・・

 

上記のような場合、支払いを怠っているため 代金を請求できる権利が売られてしまうのは

やむを得ないかもしれません。

 

ところが、法律上では、債権(権利)の譲渡は原則として自由にできると定められています。

上記の例で言うと、支払いを怠っていようが怠っていまいが、「債権(権利)の譲渡は自由」 となっています。

 

しかし、円滑な経営という観点からすると、「債権(権利)の譲渡は自由」というのは不都合な点が多いといえるのではないでしょうか。

 

そこで、契約書で、「債権(権利)の譲渡」を禁止する、または制限を設けるのです。

これが、権利義務の譲渡禁止規定です。

 

 権利義務の譲渡禁止規定の落とし穴

 

上記のような目的で契約書の雛形に規定される権利義務の譲渡禁止規定ですが、ここに落とし穴があります。

 

まず、そもそも契約書の雛形に規定がないというケースがまず多いです。

 

この規定がないと、法律の規定が適用されて、自由に権利義務を譲渡できるという結果になってしまいます。

 

次に、契約書の雛形の中で、当事者の一方の方だけ権利義務の譲渡を禁止しているというケースも見受けられます。

 

(具体的な契約書の雛形の条文例)

甲は、相手方の事前の書面による承諾なしに、本契約により生じた権利義務を第三者に譲渡することはできません。

 

上記の雛形の条文例の主語を見てください。「甲は」となっていますね。

そうです。この規定で権利義務の譲渡を原則として禁止されているのは、甲のみです。

つまり、乙は自由に権利義務を譲渡できます。恐い取立て屋にも権利を譲渡することも可能です。

 

このような規定になっていたら、要注意です。

私は大阪在住なのに、なんで月に2回も東京の裁判所に足を運ばなければならないの?しかも平日に。

 

さて、このページでは管轄条項について説明させていただきます。

 

手間と時間をかけて、凝ったデザインのホームページを作成したけど、契約書で払うと約束した代金(150万)をお客さんが払ってくれない・・・

 

契約書で払うと約束した代金を払え!と訴えようと考えているけど、

どこの裁判所に訴えればいいんだろう。

 

はい。

 

こんな場面で、管轄条項が登場します。

 

例えば、 契約書の雛形の中で、

 

「本契約に関する訴訟については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意裁判所とする。」

 

とあれば、上記の「約束した代金を払え!」という訴えは東京地方裁判所にしなければなりません。

 

しかし、必ず東京地方裁判所に訴えなければならないということは裏を返すと、次のことも言えます。

 

すなわち、必ず東京地方裁判所に訴えなければならず、京都地方裁判所や山形地方裁判所には訴えることはできません。 この契約書があるかぎり。

 

もし、訴える側が北海道に住んでいたり、九州に住んでいた場合でもわざわざ東京地方裁判所に訴えなければなりません。

 

仮に全面勝訴しても費用倒れになるとわかれば訴えることを諦めるかもしれません。

 

たとえ、絶対に勝てる見込みがある訴訟でも。

 

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行政書士 柏崎 幸一 (Blog)山形生まれの横浜育ち
(12月25日生まれ)
中央大学法学部卒


たとえ面倒でもオリジナルの契約書を作ることの重要性を理解して頂けると幸いです。
私が契約書にかけるのはそんな想いです。
 
きっかけは、法務マン時代の苦い失敗談にあります。
 
前職では、2日に1通というペースで契約書を作成・チェックしていました。私が年間に作成・チェックした契約書は100通以上にのぼります。
 
法務マンとして働いていたある日のこと、私は忙しさのあまり契約書のひな形をコピー&ペーストしてしまいました。
 
「やっとできた」
契約書を作り終え、ほっとしたのも束の間、後日上司に呼び出され「営業の人たち全員に謝りに行け!!」と叱責されてしまいました。
 
慌てて先日作った契約書を見直してみると、契約書の主語と述語が逆になっており、会社にとって不利な契約内容となっていました。これでは、上司や営業の方々が怒るのも無理はありません。もちろん、会社にも迷惑をかけてしまいました。
 
それ以来「契約書の6割は形式だ。主語と述語には特に注意しなくては」と考えるようになりました。

ひな型に頼ったばかりに失敗した事例はこれにとどまりません。
 
裁判すれば数千万円の損害賠償を請求できたにもかかわらず、「上限320万円」というたった7文字の損害賠償条項が契約書に入っていたばかりに、裁判せずあっさり負けてしまったこともあります。
 
ひな型に頼らず、自分で契約書を作っていたら、少なくとも戦わずに負けるということはなかったと考えています。

一連の失敗から「同じ名前の契約でも、契約ごとにリスクが違う。安易にひな形に頼ると拾いきれないリスクが生じてしまう」ということを学びました。
 
面倒でも、コストがかかってでも、契約書は一からオリジナルのものを作らなくてはいけない。
 
また、それでもひな型に頼らざるを得ない事情がある人もいることを踏まえて、より多くのリスクに対応できるひな形を作ろう。そう心に誓いました。
 
「簡単なひな形に頼るべきじゃなかった」
「こんなことになるなんて思っていなかった」
 
後で後悔しないためにも、オリジナルの契約書を作るようオススメしたいと思います。
ご連絡お待ちしています。

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