恐い取り立て屋が、突然金払えと言ってきた・・・
このページでは、権利義務の譲渡禁止規定について説明させていただきます。
【具体例】
あそこの会社、全然商品代金支払ってくれない・・・催促しても無視をする・・・
もう、我慢出来ない!!!商品代金を請求できる権利を恐い取立屋に、売ってしまえ。
その1か月後
支払いを怠っていた会社に対して、恐い取立屋からの取立てが始まる・・・
上記のような場合、支払いを怠っているため 代金を請求できる権利が売られてしまうのは
やむを得ないかもしれません。
ところが、法律上では、債権(権利)の譲渡は原則として自由にできると定められています。
上記の例で言うと、支払いを怠っていようが怠っていまいが、「債権(権利)の譲渡は自由」 となっています。
しかし、円滑な経営という観点からすると、「債権(権利)の譲渡は自由」というのは不都合な点が多いといえるのではないでしょうか。
そこで、契約書で、「債権(権利)の譲渡」を禁止する、または制限を設けるのです。
これが、権利義務の譲渡禁止規定です。
権利義務の譲渡禁止規定の落とし穴
上記のような目的で契約書の雛形に規定される権利義務の譲渡禁止規定ですが、ここに落とし穴があります。
まず、そもそも契約書の雛形に規定がないというケースがまず多いです。
この規定がないと、法律の規定が適用されて、自由に権利義務を譲渡できるという結果になってしまいます。
次に、契約書の雛形の中で、当事者の一方の方だけ権利義務の譲渡を禁止しているというケースも見受けられます。
(具体的な契約書の雛形の条文例)
甲は、相手方の事前の書面による承諾なしに、本契約により生じた権利義務を第三者に譲渡することはできません。
上記の雛形の条文例の主語を見てください。「甲は」となっていますね。
そうです。この規定で権利義務の譲渡を原則として禁止されているのは、甲のみです。
つまり、乙は自由に権利義務を譲渡できます。恐い取立て屋にも権利を譲渡することも可能です。
このような規定になっていたら、要注意です。